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投資信託の繰上償還とは?約款で決まる条件と、年347本という実数

安定重視の資産形成公開:2026年9月15日最終更新:2026年9月15日文:保

本記事は情報提供を目的とした解説で、特定の金融機関や金融商品をすすめるものではありません。投資信託は価格変動・為替変動などにより元本を割り込むことがあります。記載の数値は2026年9月時点で資産運用業協会が公表している資料に基づきます。保有ファンドの信託期間・繰上償還の条件は、必ず該当ファンドの信託約款および運用会社の案内でご確認ください。

買った投資信託が、自分の意思とは別に終わることがあります。繰上償還といいます。資産運用業協会の用語集では、信託約款に定められた信託期間(運用期間)の満了日前に投資信託が償還されること、と説明されています。同協会のファクトブックによれば、契約型公募投信の償還本数は2024年が453本、2025年が347本。20年30年かけて自分年金を積み上げる設計にとって、これは無視できない数字です。何をきっかけに、誰が決めて、どこに書いてあるのか。順に確かめていきます。

繰上償還とは何が起きること?

そのファンドの運用が、予定より早く終わることです。投資信託には信託期間という運用期間が定められていて、無期限のものもあれば、あらかじめ満了日が決まっているものもあります。繰上償還は、その満了日を待たずに償還されることを指します。

ここで大事なのは、解約と別物だという点です。解約は保有している側が申し出て抜けること。繰上償還は、ファンドそのものが終了することです。持ち続けるという選択肢が、選べなくなる。長期の積立を前提にしている人にとって、影響が出るのはこちらの性質のほうです。

信託期間は目論見書で確認できる。無期限と書かれているファンドでも、繰上償還の条項は別にあります。「無期限=終わらない」ではなく、「終了予定日を定めていない」という意味だと読むのが正確です。

どんな条件で繰り上げられる?

条件は信託約款に定められています。資産運用業協会は、繰上げ償還の条件はあらかじめ信託約款に定められていると説明し、例として次の2つを挙げています。

  1. 当該投資信託の残存口数が一定の規模以下になった場合
  2. 基準価額が一定条件を満たした場合

そのうえで、条件は各ファンドによって異なるので信託約款で確認する必要がある、と続きます。つまり「何口を下回ったら」の具体的な数字は、制度として一律に決まっているわけではありません。ファンドごとに書いてあります。

1つ目の残存口数が実務上いちばん効きます。ファンドは集まった資金で運用しますから、資金が抜けて規模が小さくなると、分散も売買も設計どおりに回らなくなる。運用を続けるより終わらせるほうが受益者のためになる、という判断が入る余地が出てきます。

誰がいつ決める?受益者は口を出せる?

約款の書き方によります。資産運用業協会は、約款に繰上償還の定めがある場合には、事前に公告し、受益者へ書面を交付し、受益者に賛否を問うことによって繰り上げ償還が決まる、と説明しています。

手順を分解すると3段階です。

繰上償還が決まるまでの手順(資産運用業協会「用語集・繰上償還」より作成・2026年9月15日確認)
段階行われること
1. 公告事前に公告が行われる
2. 書面の交付受益者へ書面が交付される
3. 賛否の確認受益者に賛否を問い、それによって繰上償還が決まる

黙って終わるわけではない、というのがこの3段階の意味です。ただし、賛否を問われる前提として約款の条項があります。入口は自分が同意して買った約款のなかにあると考えるほうが実態に近いでしょう。

実際にどのくらい起きている?

年に300本から450本ほどです。資産運用業協会のファクトブック(2026年3月末)に、契約型公募投信の新規設定・償還・運用中ファンドの本数が掲載されています。

契約型公募投信の新規設定・償還・運用中ファンドの本数(資産運用業協会「ファクトブック2026年3月末」より作成。2026年以外は各年12月末。償還本数にはファンド併合により消滅したファンドも含まれる)
年新規設定本数償還本数運用中ファンドの本数
2021年397本387本5,923本
2022年289本324本5,888本
2023年406本381本5,913本
2024年316本453本5,776本
2025年346本347本5,775本
2026年1〜3月95本69本5,801本

2024年が目を引きます。新規設定316本に対して償還453本。差し引き137本ぶん、選べる商品が減った年でした。2025年は新規346本・償還347本でほぼ拮抗しています。

もう少し長い目盛りで見ると、輪郭がはっきりします。運用中ファンドの本数は2016年末の6,060本から2025年末の5,775本へ、285本減りました。同じ期間(2017年から2025年までの9年間)の新規設定は合計3,324本、償還は合計3,609本。差の285本が、そのまま運用中本数の減少と一致します。新しく生まれる数より、終わる数のほうが多い年が続いているのが、この10年の姿です。

自分が持っているファンドが終わる確率は?

全体をならすと年6%前後になります。2025年の償還347本を、同年末の運用中5,775本で割ると約6.0%。単純な割り算です。

ただし、この数字をそのまま自分の保有ファンドに当てはめるのは正確ではありません。繰上償還は残存口数が細ったファンドに偏るからです。数兆円規模の資金を集めているインデックス型と、設定後に資金が集まらなかったファンドを、同じ確率で語ることはできません。

償還割合の単純計算(当ブログによる計算。資産運用業協会のファクトブックの本数を割ったもので、個別ファンドの償還確率ではありません)
年償還本数 ÷ 同年末の運用中本数割合
2023年381本 ÷ 5,913本約6.4%
2024年453本 ÷ 5,776本約7.8%
2025年347本 ÷ 5,775本約6.0%

自分年金づくりの文脈でこの数字が意味するのは、確率の見積もりではなく設計の前提のほうです。65歳までの20年30年を1本のファンドで走り切る前提を置かないこと。途中で乗り換える可能性を、最初から想定に入れておくこと。それだけで、いざ書面が届いたときの慌て方が変わります。

繰上償還されにくいファンドはどう見分ける?

断定できる見分け方はありません。ただし、約款が条件として挙げているのが残存口数と基準価額である以上、確認すべき場所は決まってきます。

  1. 信託約款の繰上償還条項——どの条件で繰り上げられるか。口数の水準が具体的に書かれているか。
  2. 純資産総額の規模と推移——規模が縮んでいく途中なのか、積み上がっているのか。
  3. 信託期間——満了日が定められているのか、定めていないのか。

3つとも目論見書と運用報告書で確認できます。手数料を比べるときに同じ書類を開くので、そのついでに見る場所が1つ増えるだけです。投資信託の手数料を目論見書で確認する手順と合わせて、同じタイミングで済ませるのが現実的でしょう。

規模の小ささは、コスト以外の形でも効いてくる。信託報酬の数字が同じでも、資金が集まっていないファンドは繰上償還の条件に近づきやすい。選ぶときの物差しに、残高という軸を1つ足しておく値打ちがあります。

積立を続けている途中で償還されたら?

そのファンドへの積立は続けられなくなります。信託が終了する以上、以後の買付けも運用も行われません。積立の設定をしている場合は、別の商品を選び直すことになります。

ここで効いてくるのが、3階建てのどの階の話なのかという整理です。自分年金の3階建て設計でいえば、土台にあたる部分を担っていたファンドが抜けたのか、上乗せ部分なのかで、埋め直すときの優先順位が変わります。

なお、税制優遇口座を使っている場合の枠の扱いは、制度ごとに異なります。NISAの非課税保有限度額は簿価で管理されているという前提を踏まえて、ご自身の枠の残りは利用中の金融機関でご確認ください。個別の取扱いはここでは断定しません。

まとめ:終わり方まで含めて選ぶ

繰上償還は、信託期間の満了日前にファンドが償還されることでした。条件は信託約款にあり、残存口数が一定の規模以下になった場合などが例として挙げられます。約款に繰上償還の定めがある場合は、事前公告・書面交付・受益者への賛否の確認を経て決まります。

数字の側は、契約型公募投信で2024年453本、2025年347本、2026年は1月から3月までで69本。運用中ファンドの本数は2016年末の6,060本から2025年末の5,775本へ285本減り、その差は同期間の新規設定3,324本と償還3,609本の差と一致します。

買うときに見るのは、たいてい利回りとコストです。そこに信託期間と純資産の規模を足しておくと、20年後に書面が届いたときの選択肢が変わります。長期の積立は、始め方より続け方で決まる部分が大きい。終わり方の条件を先に読んでおくのは、その続け方の一部だと考えています。

なお、ここに書いた割合の計算は公表本数を割った一般的な整理です。保有ファンドの条件と手続きは、必ず該当ファンドの信託約款と運用会社の案内でお確かめください。

よくある質問(FAQ)

Q. 繰上償還とは何ですか?
資産運用業協会の用語集では、信託約款に定められた信託期間(運用期間)の満了日前に投資信託が償還されること、と説明されています。あらかじめ決められた終了予定日を待たずに、そのファンドの運用が終わることを指します。
Q. 繰上償還の条件はどこで確認できますか?
信託約款です。同協会は、繰上げ償還の条件はあらかじめ信託約款に定められていると説明し、例として当該投資信託の残存口数が一定の規模以下になった場合、基準価額が一定条件を満たした場合を挙げています。条件は各ファンドによって異なります。
Q. 受益者の意見は反映されますか?
約款に繰上償還の定めがある場合には、事前に公告し、受益者へ書面を交付し、受益者に賛否を問うことによって繰り上げ償還が決まる、と説明されています。
Q. 実際にどのくらいの本数が償還されていますか?
ファクトブック(2026年3月末)によると、契約型公募投信の償還本数は2024年が453本、2025年が347本、2026年は1月から3月までで69本です。なお償還本数にはファンド併合により消滅したファンドも含まれます。
Q. 繰上償還されるとファンドの保有はどうなりますか?
そのファンドの信託は終了します。以後の運用は行われないため、積立を続ける場合は別の商品を選び直すことになります。個別の取扱いと手続きは各ファンドの信託約款と運用会社の案内をご確認ください。
参考にした一次情報・公的データ

※償還本数を運用中本数で割った割合、9年間の合計本数と運用中本数の差の照合は、公表されている本数に当てはめた当ブログの計算です。個別ファンドの繰上償還の可能性を示すものではありません。

保
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自分年金2000万、安定構築プラン 編集部

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